2016年3月10日木曜日

アイラ島旅行記(1):旅の情報編


先週末、3泊4日でウィスキーの島、アイラ島(Isle of Islay)に旅行してきた。もちろん、旅のメインは蒸留所巡りとウィスキー・テイスティングだが、他にも豊かな自然や動物たちを楽しんだり、古代遺跡を巡ったりと盛りだくさんな旅になった。今後、何回かに分けて旅の様子を紹介したいと思う。

ただ、まだ写真を整理中なので、今日は旅のインフォメーションを備忘録的にまとめておきたいと思う(もし、旅行記を読んでアイラ島に行ってみたい!と思ったら、ぜひ参考にしてほしい)。

1.アイラ島の概要


アイラ島は、スコットランド西部に連なるヘブリディーズ諸島の最南端に位置する島で、「ヘブリディーズ諸島の女王」と称されている(下の地図の赤い所)。スコットランドの最大都市、グラスゴーからは、西に100km位のところに位置している。
島の面積は約600平方kmで東京23区の面積と大体同じ、島の人口は約3,000人強(東京23区の人口は約900万人なので、人口密度は3000分の1!!)の非常にのどかな島である。スコットランドにあるだけあってロンドンより更に寒いが、暖流の通る大西洋に面しているためスコットランド本島よりはかなり温暖なようだ。


アイラ島地図1(wikipediaより)

アイラ島は何といっても、ウィスキーの蒸留所で有名である。現在、アイラ島では8つの蒸留所がウィスキーづくりを行っている。
1か所にこれだけの蒸留所が集まっているのは、スコットランドでもアイラ島とスペイサイド位なので、まさにウィスキーの島といえる。
アイラウィスキーの多くは、ピートの匂いが強いのが特徴で、初めてラフロイグを飲んだ時は「正露丸の味がする」と思ったくらいだ。もちろん、蒸留所ごとに特徴やこだわりがあるので、書ける範囲で紹介していきたい。

アイラ島の蒸留所マップ(Wikipediaより)

島内には、郵便局やスーパーがある大きな集落が2か所、ボウモア地区(上の地図中央あたり、ボウモア蒸留所があるところ)と、ポートエレン地区(地図下中央、ポートエレン蒸留所跡があるところ)にある。島内に滞在する際は、このどちらかの地区に滞在することになるだろう。

2.アイラ島へのアクセス


アイラ島へ行くための手段は、(1)グラスゴーから飛行機に乗る、(2)本島からフェリーに乗る、の2つ。時間的制約を考えると、飛行機でアクセスするのが現実的だろう。飛行機は "Flybe" という航空会社によるフライトが1日2便、午前と夕方発着であり、グラスゴー間からの飛行時間は約30分である。(http://www.flybe.com/
フライトは36人乗りのプロペラ機なので、早めに予約しておかないと座席の確保が難しいだろう(実際、オフシーズンにも関わらず、行きも帰りも満席だった)。

アイラ空港の看板。現地のゲール語も併記されている。

夕暮れのアイラ空港

3.いつアイラ島を訪れたらよいか?

アイラ島のベストシーズンは、何といっても夏である。スコットランドなので日が長い上に、気候も温暖なので、のんびりとした休暇を過ごすにはもってこいの場所になるだろう。ほとんどの蒸留所は土日もオープンしているので、蒸留所巡りの予定も立てやすい。ただ、多くの観光客が訪れるシーズンでもあるので、宿や飛行機の手配はもちろん、蒸留所の見学ツアーの予約も事前に行っておかないといけない。

毎年5月下旬には、アイラ島のお祭りがある。各蒸留所が様々なイベントを開催したり、特別ボトルを売り出したりするので、ウィスキーファンなら、この時期を狙っていくのもいいだろう。ただ、このお祭り期間中は、島の人口が3倍になるそうなので、飛行機や宿の手配は相当前からする必要があるだろう。

今回は、ベストシーズンではない3月上旬のアイラ島訪問だったが、それでも大満足だった。3月からは土日にもツアーを開催する蒸留所が多く、蒸留所巡りのスケジュールを立てるのには困らなかったうえに、各ツアーは多くても10人くらい、場所によっては我々のグループだけだったため、じっくりと楽しむことが出来た。まだ肌寒さは残る時期ではあるが、人混みを避けてゆっくり蒸留所巡りをしたいなら、3月はおすすめだろう。

逆に冬季(11月~2月)は、土日はほとんどの蒸留所が営業していないうえに、日も短く寒いのであまりお勧めはしない。ただ、冬場はグリーンランドから珍しい渡り鳥がやって来るらしいので、ウィスキーだけでなく、バードウォッチングも趣味の人には良いかもしれない。

4.アイラ島内の移動

島内の移動については、以下の手段がある。
  • バス
  • タクシー
  • レンタカー
  • サイクリング
旅の目的が蒸留所巡りであることを考えると、レンタカーの利用は難しいので、その他について解説したい。

バスは、島内の幹線道路を走る2路線があって、Kilchoman 蒸留所とBunnahabhain 蒸留所以外の6蒸留所は、バス停から歩いていくことが可能である。本数は、各路線1日往復4~5本といったところだが、午前中に1か所、午後に1か所蒸留所を回る分には十分にスケジュールを組み立てられるので、あまり心配はいらないだろう。乗車賃は、距離にもよるが1回2~3£という所だった。ただし、バスは日曜は運行していないことに注意が必要である。
http://www.islayinfo.com/travel.html#islaybus

コストはかかるが一番快適なのは、タクシーのチャーターだろう。バスでアクセスできないKilchoman 蒸留所とBunnahabhain 蒸留所を訪れたり、古代遺跡を訪れるためには、タクシーをチャーターするのが、実質的に唯一の手段だ。どのタクシー会社も7人乗り位のミニバンを使っているので、団体でもOKだ。料金だが、今回利用した Islay taxi という所は、8時間で160£だった。それなりの出費ではあるが、日本の観光タクシーと比べてもそこまで割高ではないので、特に団体の場合はお勧めだ。タクシー会社の連絡先は次のリンク先にまとまっている。
http://www.islayinfo.com/travel.html#public
その他、ウルルン滞在記にも搭乗したクリスティーン・ローガン氏のタクシーツアーもある。旅の途中小耳にはさんだところでは1日ツアーで200£とのことだが、スケジュールの組み立てなどもしてくれるみたいなので、よいかもしれない。全くの余談だが、このローガン氏には、たまたま島内で会ったのだが、大の阪神ファンで大阪としゃぶしゃぶが好き、とのことである。確かに、英語(と片言の日本語)をしゃべっていることを除けば、ヒョウ柄の服がとてもよく似合いそうな気さくな方であった。
http://www.asahi-net.or.jp/~PY6T-MG/

ボウモア地区では、自転車の貸し出しをする店があるので、サイクリングも可能である。ボウモアとブルックラディを結ぶ湾のところは、それなりに道が平坦で美しい湾内の景色を眺められるので、サイクリングコースとしてはお勧めである。ただ、ポートエレン方面や、カリラ方面はそれなりに起伏があり、距離もかなりあるので、蒸留所間の移動手段として使うのは、ちょっと難しいだろう。

5.蒸留所巡りのコツ

各蒸留所は、製造工程を巡るツアーやテイスティング講座を開催しているので、それに合わせて蒸留所巡りのスケジュールを立てることになる。スケジュールを立てるコツだが、1日に訪れる蒸留所は2つまでにしておくことだろう。なぜなら…

  • 蒸留所ツアー(1時間~2時間)+写真撮影+土産購入などの時間をとりたい
  • 蒸留所間は、結構離れているところが多く移動に時間がかかる
  • (テイスティング・ツアーに出た場合は特に)結構酔っぱらう(笑)

蒸留所入り口での記念撮影や、海に面した白壁に書かれた蒸留除名を写真に収めたりと、蒸留所内は撮影スポット満載である。土産物屋は、買い物しないまでも様々なオリジナルグッズは見ているだけでも楽しいので、ツアーの前後にもしっかり時間を取って、それぞれの蒸留所を堪能することをお勧めしたい。
また、テイスティングで出てくるウィスキーには、加水していない樽出しのものも多く、度数50%以上のウィスキーが多く出てくるので、思いのほか酔っぱらう。しっかり味わいたいなら、午前に1か所、昼食で酔いをさまして午後に1か所とするのがよいと感じた。


各蒸留所では、毎日3~5回くらいツアーを開催している。ツアーには以下の通りいくつか種類がある。

  • 蒸留所ツアー:製造現場を巡って最後に2杯ほどテイスティング(1時間程度、6£前後)
  • テイスティング・ツアー:蒸留所限定品を含む5杯ほどを、特徴などの講義を受けつつテイスティング(45分程度、15£前後)
  • フルレンジ・ツアー:上二つの複合版(1時間半程度、20£程度)
  • 特別ツアー:蒸留所によっては、趣向を凝らした特別ツアーあり(2~4時間、50£前後)

すでに、お気に入りのアイラウィスキーがあるなら、その蒸留所では、ぜひテイスティング・ツアーや特別ツアーに参加してみるといいだろう。その蒸留所のこだわりが伝わってきて、よりお気に入り度が高まること請け合いである。
蒸留所の製造工程は、どこも基本的には同じだが、それでもいくつかの蒸留所ツアーを見比べてみるのがお勧めである。それぞれの蒸留所がどの製造工程に特徴を持っていて、それが味にどう影響しているかがだんだんわかってくるだろう。

6.ホテル・レストラン

島内の宿泊施設の多くは、ボウモア地区とポートエレン地区にある。ボウモア地区は島の中心にあって空港からも近いので、空路でアイラ島に来て、島中をある程度くまなくめぐる場合は、ボウモア地区に滞在するのが便利だろう。ポートエレン地区は、フェリーが発着するので、フェリー利用の場合は便利だろう。また、ラフロイグ・ラガブーリン・アードベッグといった南岸の蒸留所を重点的にめぐる場合は、ポートエレンが便利だ。

ボウモア地区のホテルについているレストランは、食事がおいしいのはもちろん、豊富なウィスキーボトルが取り揃えられているので、おすすめである。中でも、Bowmore hotelLochside hotelのウィスキーコレクションは、非常に評判が高い。Harbour inn hotelのレストランは、ボウモアの美しい湾を眺めながら食事ができるので、これもまたおすすめである。
ボウモアホテルのウィスキーコレクション(の一部)
アイラ島名物、ウィスキーをたらして食べる生牡蠣

ハーバーインホテルのレストランからの眺め
その他でおすすめなのは、アードベッグ蒸留所内にあるカフェ・レストランだ。ふんだんに魚介類を使ったメニューのほか、ウィスキーももちろん飲むことが出来る。

アードベッグ蒸留所内のカフェ "The Old Kiln Cafe"

7.関連リンク

アイラ島観光のポータルサイト(英語)。必要な情報はほぼすべて手に入れることが出来る。
http://www.islayinfo.com/

「ウィスキーの聖地アイラ島に行ってみたい!」(Naverまとめ)
http://matome.naver.jp/odai/2140943442878147701


各蒸留所のウェブサイト(英語、生年月日を最初に入力する必要あり)
http://www.ardbeg.com/
http://www.bowmore.com/

フライビー(航空会社)
http://www.flybe.com/










0 件のコメント:

コメントを投稿