2016年2月21日日曜日

名前を言ってはいけないあの人(クマ)


イギリスの児童文学といえば、何といってもハリー・ポッターとクマたち(Winnie the Pooh や Paddington bear)であろう。ただ、これらのイギリスのクマたちの話は今後の機会に譲って、今日は最近知ったロシアとクマの話をしたい。

ロシアには、もちろんたくさんクマがいる。そして、かつては列強として脅威をふるったロシア自身をクマになぞらえた風刺画がたくさんあったほどである。ただ、ついさっき知ったのだが、「ロシア語には『クマ』をあらわす単語がない」ようである。いや、もちろんクマを表す単語はあるのだが、やや複雑な事情があるようである。

昔々は、ロシアにもクマを表す単語があったらしいが、どうやらその単語を言ってしまうと、クマが聞きつけて本当にクマが来てしまう、という迷信を昔の人たちは信じていたようだ。そのため、ロシア人はそのクマという単語を使う代わりに、隠語のように「はちみつを食べるもの」という感じで呼びならわしていたようである。つまり、ロシアにおける「名前を言ってはいけないあの人」は、ヴォルデモート卿ではなく、「クマ」であった、というわけだ。そして、元々クマを指していた単語は忘れ去られてしまったようである。なお、現在クマの意味で使われている「はちみつを食べるもの」は、「メドヴェーチ(Медведь)」という単語だそうだ。つまり、前ロシア大統領だったメドベージェフ大統領の名前は、プーさん(はちみつ好きのクマ)と言えないこともない。そして、今の大統領の名前はもちろんプーチンである。

ところで、このクマを直接呼称することをタブーとする風習は日本にもある。そう、「♪出てきた出てきた山親父~」の山親父である(注)。かたや、「はちみつを食べるもの」、かたや「山の親父」なので、日本における扱いの悪さが気になるところである。ただ、小学校の山登り遠足がクマ出没のために中止になった記憶のある自分としては、まあ相応の扱いではないか、とも思っている。

(注)おそらく、北海道以外の多くの人には元ネタがわからないと思われるので、参考動画をあげておきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=o6AvdUxSqBw


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