2016年2月25日木曜日

ロンドンの駅(4):King's Cross St. Pancras (後編)


King's Cross St. Pancras 駅の後編では、St. Pancras 駅について取り上げる(前編はこちら)。
名前の由来となったSt. Pancras は、日本語では「聖パンクラティウス」と呼ばれるそうで、4世紀の初頭に殉教した少年だった、とのことだ。大昔、今と比べればロンドンが小さな町だった頃、St. Pancras 駅がある一帯はロンドンの外にある小さな村だった。そして、その小さな村を管轄する教会が St. Pancras 教会と呼ばれていたことから、村自体も St. Pancras と呼ばれるようになったらしい。ただ、歴史好きにとって残念なのは、この教会自体は忘れ去られた存在となってしまい、駅ばっかりが有名になってしまったことだ。

今の St. Pancras 駅は、2007年に大改装されたのだが、正面にはヴィクトリア朝様式の荘厳な時計台とホテルがあり、非常に趣がある。東京駅もそうだが、都市の玄関口である中央駅が素晴らしい建築であるのは、本当に素晴らしいことだと思う。

St. Pancras 駅の時計台(Photograph: courtesy of S.H.)
http://goo.gl/2e5ITK
この St. Pancras 駅は、2007年の大改装以降、パリやブリュッセルとロンドンを結ぶ国際特急 "Euro Star" の発着駅となっている(それまではどの駅だったかについては、いずれ記事にしたい)。そのため、St. Pancras 駅は、いつも大きなキャリーケースを持った旅行者やビジネスマンでにぎわっている。基本的には空路でしか外国とつながっていない日本の感覚ではピンとこないが、ロンドンの町中以上に頻繁に飛び交う大陸欧州系の言葉を聞くにつけ、この鉄道駅は「外国」とつながっているんだな、としみじみ思う。

停車中の Euro Star (筆者撮影)
列車案内の電光掲示板。1時間に1本パリ行きの列車が出る(筆者撮影)

そして、入り口には、駅でしばしの別れを交わしていると思われる恋人の像が立っていて、こちらも旅情を誘う。この銅像は、Paul Day という彫刻家の "Meeting point" という作品の様である。駅構内には、他にも優れた銅像があるので、見て回るのも楽しいかもしれない。ただ、この像を見るたびに、なぜかゴスペラーズの「新大阪」が頭の中で再生されるので、まだまだ自分の心は日本にあるのだな、と思う。

Meeting Point (筆者撮影)

Meeting Point 台座部分のレリーフ。こちらも旅情を誘う。(筆者撮影)



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