2016年2月16日火曜日

ロンドンの駅(3):King's Cross St. Pancras (前編)


今回の、ロンドンの駅は King's Cross St. Pancras (キングスクロス・セントパンクラス)である。とても長い駅名だが、これは地下鉄の駅名であって、地上には National Rail の King's Cross 駅と St. Pancras 駅が並んである。両駅は長距離鉄道のターミナル駅なだけあって、乗り入れている地下鉄もなんと6路線という、大きな駅である(とはいっても、新宿駅や渋谷駅に比べれば、全く大したことはないのだけれど…)

今回の記事では、前編ということで King's Cross 駅について取り上げたい。King's Cross 駅はロンドン中心部の北側に位置しており、イングランド北部(ヨークシャー地方)やスコットランドなどを結ぶ長距離列車が発着する、いわばロンドンの北の玄関口である(つまり、上野駅のようなものか)。

King's Cross 駅南側 (Wikipedia より)

King's Cross 駅が開業したのは 1852年のことだが、その少し前、1830年から1845年の間に、この地区に、ジョージ4世(位:1820-30)の大きな銅像が立っていたことから King's Cross という地区名になったそうである。この銅像、15年で取り壊されたことからも分かるように、相当不評だったらしく、当時の作家である Walter Thornbury は "absurd statue" と酷評している。
では、銅像が建てられる前は、この地区は何と呼ばれていたのかというと、"Battle bridge" と呼ばれていたそうである。なんでも、西暦60年ごろに、ローマ帝国に反乱を起こしたケルトの女王 Boudica が、この辺りにあった橋でローマ軍と激突したそうである。Boudica はイギリスではかなり有名な歴史上の人物らしいので、機会があればそのうち記事にしたいと思う。

さて、日本人にとっては、King's Cross 駅は「9と4分の3番線」があるところで有名だろう。実際に、King's Cross 駅には、「9と4分の3番線」を再現したスポットがあって、記念写真を撮る観光客で長蛇の列ができていた。この観光名所、なかなかサービスがよくて、グリフィンドール・カラーのマフラーの貸し出しがあるうえに、専属の係りの人がついていて、シャッタチャンスに合わせて、マフラーをふわっと、してくれる。ハリーポッターファンには、大満足のサービスなのではないだろうか。

「9と4分の3番線」 筆者撮影

この「9と4分の3番線」だが、やや見つけづらい場所にあるので注意が必要である。というのも、King's Cross 駅には、駅舎が2つあって、1つ目の駅舎には1番線から9番線があり、10番線以降は2つ目の駅舎にある。つまり、実際の King's Cross 駅には、9番線と10番線の間は存在しないのである!どうやら、J.K. Rowling は、自分の記憶だけを頼りに勘違いで書いてしまったらしい。しかも、後年このことをインタビューで問い詰められたときに「Euston駅と勘違いしていた」と答えたらしいが、Euston駅も9番線と10番線は違う駅舎にあるとのことだ...
こちらに半年近く暮らしてみてわかったのは、このいかにもいい加減な感じが、イギリス人の性質をよく物語っている、ということである。

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「9と4分の3番線」 "Platform 9 3/4"
https://www.kingscross.co.uk/harry-potters-platform-9-34
National Rail, King's Cross 駅構内
所要時間:10~30分程度(写真撮影に並ぶ場合)
おすすめ度:★★★★★(ハリーポッターファン)
                 ★★☆☆(その他)



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