2016年2月12日金曜日

Lady Godiva


今週のスピーキングのクラスでは、様々な「見る」に関する内容だった。 "glance" が「ちらっと見る」とか "gaze" が「じっとみつめる」とか、その手の動詞が10個ぐらい紹介された。いかにも、大学受験とかGRE的な内容なのだが、 一つだけ印象に残ったのが、"peep" という動詞とあわせて、 "peeping Tom" という熟語が紹介されたことだ。"peep" は、「のぞき見をする」という意味なので、この熟語は、「のぞき見をする気持ち悪い人」という意味である。一体、トムが何をしたっていうんだ、ひどい言われようじゃないか。

そんな話はさておき、そろそろ、バレンタインデーである。日本のチョコレート祭りほどではないが、こちらも「大切な人に花を贈りましょう」とか、「おいしいお菓子とシャンパンはいかがですか」という感じでスーパーが頑張っている。日本では、「欧米ではバレンタインデーだからといって大騒ぎしない。日本人は企業に踊らされているだけだ」という人がたまにいるが、何のことはない、どこの国でも小売業者は、消費者の購買意欲を掻き立てようと必死なのである。

さて、日本でもおなじみの高級チョコレート、Godiva はこちらでも有名である(ただし、英語ではゴダイヴァと発音する)。Godiva はベルギーの会社であるが、ブランド名の由来は、11世紀のイングランドにいたとされる女性 (Lady Godiva) である。ゴディバ・チョコのロゴに描かれている馬に乗った女性、その人である。
この、 Lady Godiva は、Mercia 伯 Leofric の妻ということで、要は中世のお殿様の奥さんである。この、 Mercia では領民が重税にあえいでいて、領民思いの Godiva は、Leofric に領民のことを考えて税金を引き下げてほしい、と訴えたそうである。それに対して、 Leofric は「おまえが裸で馬に乗って町中を一周するなら税金を引き下げる」といったそうである。そして、Lady Godiva は、この Leofric の無茶苦茶な要求を本当に実行してしまい、領民を救ったそうである(この伝説にちなんで、ゴディバのロゴも馬に乗った裸の女性である)。

Lady Godiva: 裸で馬にまたがっている
(Wikipediaより)

Lady Godiva が裸で町中を通っている時、恩義を感じた領民は、家の中に閉じこもり、彼女を見ないようにしたそうだ。その中でただ一人、Tom という男だけが、彼女の裸見たさに窓からのぞき見したとのことである。そう、この伝説が "peeping Tom" の由来である。
ただ、この Tom という名前は、アングロサクソン系にはない名前で、ノルマン征服以前の時代である Lady Godiva の時代のイングランドにはない名前らしい。つまり、 peeping Tom の伝説は、後世の作り話であることが濃厚とのことだ。濡れ衣だったのか、やっぱりかわいそうだよ、トム。それに、一番の変態はどう考えたって Leofric じゃないか。


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